
業界への興味ではなく、ビジネスへの理解。トップメッセージ発信で劇的に改善した「応募の質」
パシフィックリーグマーケティング株式会社
日本が誇るプロスポーツの代表格、野球。
より健全な球団経営を目的にした2004年の“球界再編”をきっかけに、全球団が一丸となってプロ野球のさらなる発展をめざし始めた。その流れで、パ・リーグ6球団の共同出資によって2007年に立ち上がったのがパシフィックリーグマーケティング株式会社(以下、PLM)だ。
同社ではパ・リーグ主催試合のネット動画配信事業「パーソル パ・リーグTV」をはじめ、“6球団が一つに”なってこそ実現できるビジネスモデルを構築。売上は昨年50億に到達し、初年度の1.8億から27倍となる成長を遂げている。
そんな中、同社は代表・根岸友喜氏のインタビューを Forbes JAPAN CAREER に掲載。当初、求職者への会社理解の促進、および採用ブランディングをねらっていたが、それに加えて、「わずか4か月で“ドラフト1位の人材”が採用できた」と広報部長の森亜紀子氏は話す。
採用活動における Forbes JAPAN CAREER の活用方法について、話を聞いた。
課題:求人に対する応募数が多い一方で、選考過程におけるミスマッチが多く、もとめる人材に出会うまでに膨大な労力を要していた。いわゆる「応募の質」における課題があった。
求めた人物像:業界への興味だけではなく、ビジネスとして会社を、そしてパ・リーグの各球団をはじめスポーツビジネス全体を成長させる意欲・スキルを持った人材
効果:採用候補者が応募の前に記事を読むようになったことで、事業の方向性などのイメージの具体化に成功。結果、採用決定者に対する応募者数が大幅に改善。掲載4ヶ月で1名の内定、採用決定。
PLMの Forbes JAPAN CAREER 掲載記事はこちら>>
設立11年で売上は約30倍──パ・リーグマーケティングが目指す「スポーツ界の総合商社」
応募者多数の人気企業が抱える、採用コストの悩み
森:私は現在、3つの事業部を掛け持っており、広報として採用活動も行なっています。採用活動は非常に重要な仕事ですが、費やせる時間が限られているのも事実です。
具体的な採用施策については、一般の企業と同じようにエージェントや採用媒体への掲載などをこれまで行ってきました。プロ野球という、国内のメジャースポーツにかかわる仕事だからか、大変ありがたいことに短期間の募集でも1000を超える応募をいただくこともあります。が、その反面悩みもあります。
たとえば採用媒体の場合、求職者は一度プロフィールを登録しておけばワンクリックで応募が完了します。その手軽さから、興味のある業界にはとりあえず応募しておくケースもあると思います。つまり、応募に対する温度感は、この時点では測ることができません。
書類送付を依頼しても連絡がないケースも含めて、最終的に採用検討のテーブルに乗るのは応募者の数パーセント。書類選考では、次から次へと履歴書に目を通すうちに、判断基準がぶれたり、各人の情報が頭の中でごちゃまぜになり、最初から履歴書を見直したりすることもありました。
そうこうして悩んだ末に書類選考を通しても、求職者からあっさりお断りの連絡をいただく場合もありました。特に当社の場合、社名の「マーケティング」が影響してか、一番求めている営業の人材を採用することが難しい状況でした。応募があっても、やりたいことを聞いていくうちに、「この方は営業ではなくマーケティング志望だな」と思うケースも少なくありません。

採用活動とは本来、新しい出会いにワクワクするものであるはず。ですが、逆に有難いことであるものの応募が多すぎることでお互いにとって、幸福ではない状態にもなり得るのだと、身をもって感じていました。
トップメッセージの発信により、面接の話題が「プロ野球の話」から「スポーツビジネスの話」に変化
Forbes CAREERへの掲載を決めたのは、求人要項だけでは伝えきれない会社からのメッセージを発信するためです。また、Forbesはビジネス誌なので、競技として野球をしたことがない人も含めて、ビジネスの側面から当社を知ってもらう目的もありました。
そして1名の内定、採用が決定しました。
もちろん応募者の数でみると、採用媒体のほうが圧倒的に多く集まります。ですが、Forbes CAREERを接点に当社に出会った方からの応募は、いわゆる「採用の質」の面で非常に精度が高いと感じました。
掲載から数ヶ月での応募は15件弱。
それまでは数千の応募に対して4,5名の採用だったので、選考にかける時間的コストが大きく圧縮できました。
これは当社だけでなく、求職者に対するメリットでもあります。企業側として応募者の数が多くなってしまう場合、どうしても求職者を待たせる期間も長くなります。一方、ある程度応募者が絞られていれば、お互いにとって“良いタイミング”で話が進められます。
採用担当としては、採用媒体に掲載し多くの人にPLMという会社を知っていただき、出会いたい気持ちももちろんあるものの、「理解ある方に応募していただく」ことは純粋にありがたいなと感じました。特に印象的だったのは、面接の話題の変化です。
Forbes CAREERに掲載後は、記事を読んでカルチャーやトップの考え方を分かった上で疑問をぶつけてくれるなど、理解のある方が面接に来ていただけるようになりました。
最終的に採用に至ったのは「何でも売れる営業マンになりたい、だから野球も売れるように」と話してくれた女性だったのですが、今までの傾向とは違う“野球ありきじゃない人”だったので、採用目線では良い驚きでした。 チームや競技の好き嫌いだけでなく、ビジネス面からのスポーツ業界の発展のために、今回採用した方が活躍してくださり、一緒に働けることを楽しみにしています。

フェアな採用活動に欠かせない、企業自らによる情報提供
たとえば面接のシーンで、第一球を投じるのは企業側だとしても、それを打ち返すかどうか、権利を持っているのは求職者です。互いが互いを選考し合えるような、フェアな採用活動をしたいと思っています。
私自身も、求職者としてPLMの会議室に通された時、最初に言われたのが「森さん自身も会社を選ぶ権利があるので、フェアにいきましょう」という言葉でした。会社としても大切にしているものは同じです。
また、もし仮に縁がなかった場合でも、良い会社だと思ってもらえる選考過程でありたいと思っています。どの企業にも同じことが言えるかもしれませんが、たとえ一緒に働かなくても、将来的にはプロ野球のファンの一人になる可能性もあります。
そのためにできることとして、面接官の印象に頼る部分が大きいことは事実です。しかし、今回のForbes CAREERのようなコンテンツを“企業との最初の接点”として用意しておくことで、属人的にならない情報を求職者全員に届けられます。これもフェアな採用活動の一つだと思います。
実は私も、当社を紹介してくれたエージェントに、代表が出ている講演映像を事前に見ておくよう言われ、それが面接の準備として役に立ったんです。2時間を超える長い映像だったので、最初の接点にしてはかなりのボリュームでした(笑)。
その点Forbes CAREERに掲載されたトップメッセージは、今現在の私たちの姿がコンパクトに凝縮されています。当社に興味をもっていただいた方への入り口として、今後もForbes CAREERが役立ってくれることを願っています。

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