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事業にかける想いをストーリーに集約。採用だけではない、事業シナジーも生まれた

株式会社丹青社

創業70年超の東証一部上場企業で、「空間創造のプロフェッショナル」と謳う丹青社。「こころを動かす空間をつくりあげるために。」というコーポレートステートメントを掲げ、全国の商業施設や文化施設、イベントなどさまざまな空間の、調査・企画、デザイン・設計、制作・施工、運営等を担っている。

そんな同社が2019年5月、ブロックチェーンを活用し、日本のアート・工芸を世界に広めるための新たなプラットフォームをスタートさせた。その名も「B-OWND」。作家はWEB上に自身の作品を掲載し、その作品に共鳴した買い手はそこで購入できる。わかりやすくいえば、「アート版Amazon」だが、画期的な技術が幾つも活用されている。

そんな同社の新規事業において新たな仲間を求めるべくForbes JAPAN CAREERでの掲載を開始した。70年超の歴史を持つ老舗企業の中で立ち上がった新規事業チーム。「ブロックチェーン技術を活用したアート・工芸作品の価値向上」というミッションに挑むチームに、どのような出会いがもたらされたのか。

文化空間事業部 事業開発統括部長吉田清一郎氏に話を伺った。

課題:既存事業とは大きく異なる新規のイノベーション事業。カルチャーや求められるスキルが大きく異なるため、社内から人員を確保することが困難だった。

求めた人物像:B-OWNDが実現したい世界観が共有できること。かつ、前例のない新規事業であるため、課題発見から解決まで自走型でできる即戦力人材である必要があった。

効果:記事を用いた他チャネルでの発信、拡散の結果、即戦力の採用に成功。また、入社に至らなかった、“もう1名”に関しても、外部のビジネスパートナーとして協業の検討を進めている。

丹青社の Forbes JAPAN CAREER 掲載記事はこちら>>
生命を燃やす創作家たちと世界を結ぶ──それが画家の家庭に生を享けた僕の宿命

新規事業が生まれた理由

吉田:契機は東日本大震災でした。人口減少が進む中で起こった未曾有の災害で地域の文化が失われていくではないかという懸念が私の中で高まっていたのです。成熟国家である日本の成長には文化芸術資源の活用が欠かせない。日本の地域には魅力ある資源があるにもかかわらず、活かされていない現状がありました。

私自身、丹青社でミュージアムなどの文化施設の空間づくりに長く携わってきました。展示を通じて日本や地域の文化を伝える非常に意義のある仕事ですが、そもそもそのテーマとなる伝統工芸などの地域資源やそれを生み出すアーティストたちの活動の場が失われつつある。ただ展示を通じて伝える「だけ」ではなく、経済的価値を生み出さなければ文化の継承もできない、そう感じたのです。日本の地域にある資源を活かして、持続的な経済循環をつくりたい、という想いが強くなりました。

新規事業を立ち上げる責任者となり組織をつくる際に、社内で想いやビジョンを共有できる人間に声をかけました。その声掛けに応じ翌年に異動して参加したのが石上(現B-OWNDプロデューサー)で、彼の想いと構想が加わり立ち上がったのがB-OWNDです。B-OWNDではブロックチェーンを活用しているのですが、その事業連携パートナーである、東京大学発のスタートアップ、スタートバーンの施井さんとも想いの共鳴からスタートしました。

丹青社に新規事業が生まれた理由

事業に共感・共鳴する仲間に出会う方法

私、石上を含めた4名と外部パートナーで進めている「B-OWND」。システムの開発に関わる外部との折衝、想いに賛同してくれる工芸家やアーティストの発掘と掲載交渉のための全国行脚などを、例えば1名が兼務するだけでも相当な業務量です。

「仲間が欲しい」

そう思っても、他の事業部に簡単にお願いできるわけではありません。コア事業の上に成り立つのが新規事業。コア事業があるからこそ、会社として新しい施策にチャレンジできるのです。

また、新しい事業というところで既存のカルチャーや能力とは違う人材の確保に動かなければなりません。正解を誰も知らないノベーション事業なので、仮説を立てては検証し、振り返る。そして新たな施策をやる、とにかく手数が重要。課題の解決はもちろん、自ら課題を設定する能力も求められていたのです。

そして新規事業、いわば社内スタートアップにおいて大事なのがビジョンへの共感です。まとめると、

・課題解決はもちろん、課題発見ができること
・とにかくスピード感を持ってチャレンジできること
・日本の工芸・アートの現状を変えたいと強く想えること

この3つの要素を必須条件として採用活動をはじめようとしたところ、Forbes JAPAN CAREERと出会ったのです。

事業にかける想いを丁寧にストーリー化。自身も拡散にコミット

既存の採用サービスではなく、Forbes JAPAN CAREERを選んだ理由は、まず「Forbes」というブランドの強さはありましたね。Forbes JAPANの読者はきっとイノベーティブなストーリーに興味をもつ。きっと、私たちが求める人物像に近い人がいる、そう考えたのです。

また、“ストーリーの作り方”が印象的でした。従来のサービスですと、どうしても求人票ベースなので想いがどうしても伝わらない。経済条件とスキルセットだけでのマッチングになってしまいます。これが悪い訳ではありませんが、我々の場合、想いに共感していただくことが絶対条件の一つでした。

その部分をしっかり、丁寧に作り込んでもらったことが非常に有り難かったですね。

掲載後は自ら拡散に努めました。これは重要なポイントだと思いますね。いかにこのブランドストーリーを自分で“配るか”、そこを重要視しました。

例えば、私が通っていた大学院(MBA)のネットワークなど、各種Facebookグループに投稿して、「新規事業を立ち上げました」「こんな事業なので、一緒にやりたい人は連絡ください」など積極的に発信をしていきました。すると、ある2名から反応があったのです。

社員の採用だけではない。
広義な“出会いのプラットフォーム”として活用していく

実際に採用にいたったのは元々知っている方でした。投稿したストーリーを読んだ上で、「非常に興味が持てて、自分もその社会課題にコミットしたい。応募して大丈夫でしょうか?」と聞かれ、すぐに選考フローに乗ってもらいました。そしてトントン拍子で内定、入社に至ったのです。

そしてもう1名、同じくFacebookグループから連絡をいただいたのは、ある企業で事業戦略部長を務めるほどの経歴を持つ方でした。それまで面識はなく、実際にお会いしてみると、経歴はもちろん、人間的にも素晴らしい方で。今、在職の企業で任されている部分も大きく、入社には至りませんでした。

ただ、彼が持つ知見やネットワークを生かして、「外部パートナー」として今後、事業に関わっていただくことができないか話し合っています。

Forbes JAPAN CAREER編集長の後藤さんもおっしゃっていましたが、「ビジネスにおける出会いの場になればそれでいい」というところですね。これから、労働人口が減っていく中で外部との協業などがますます増えていくでしょうから、採用ももっと柔軟になっていくとよいと思うのです。

ビジネスパートナーとの出会いの場としても今回、素晴らしい出会いに繋がったので有り難いですね。

大手企業の中の新規事業チームもベンチャー企業も常に人材が不足していると聞きます。私自身も日々いい人材を探しています。その中で素敵な方と出会った時、Forbes JAPAN CAREERにブランドストーリーを掲載しておけば、理解も深まり、スムーズなコミュニケーションが可能になると思いますね。B-OWND以外にも新規事業チームで人材募集をしています。このインタビュー記事をみて共感し、応募してくださったら嬉しいです。

株式会社丹青社
商業空間・パブリック空間・ホスピタリティ空間・文化空間・ビジネス空間・イベント空間の調 査・企画、デザイン・設計、制作・施工、運営
設立 1959(昭和34)年12月25日
従業員数 1,234名【連結】/975名【単体】 (2019年1月31日現在)
URL:https://www.tanseisha.co.jp/
B-OWND URL:https://www.b-ownd.com/