| by Forbes CAREER 編集部

効果的な採用動画を制作するコツ|目的別の採用動画事例も紹介

企業は優秀な応募者を確保するために、あらゆる手段を講じて自社の魅力をアピールしなければならない。中でも効果的な手段の一つとして、近年は採用コンセプトや会社の世界観を伝える動画(以下、採用動画)の制作に力を入れている企業が多い。

この記事では、これから自社でも動画を検討している採用担当の方に向けて、採用活動で動画を使うメリットや制作時のポイント、他社事例などを紹介する。

参考:採用ブランディングに関する記事一覧

採用動画の4つのメリット

まずは採用動画を活用するメリットについて見てみよう。

特に最近は、幅広い世代で「動画視聴」は日常の中に習慣化されてきている。そのため、会社説明会で流すといった従来の利用方法だけでなく、WebサイトやYouTubeチャンネルなどに動画を置いて見てもらうことも良いだろう。

企業のPRやブランディングにつながる

テキストと比較して、映像はより多くの感覚器官(視覚+聴覚)にはたらきかけるので、理性的な理解よりも、より感情的・本能的な理解を促すことができたり、非言語的な印象を届けられるツールだ。

まだ定説とは言えないが、国内外で企業などによる調査では、映像を見たときの学習効果や記憶の定着のしやすさなどが、文章を読んだときよりも高いといわれている。

動画は映像(視覚)だけでなく、音(聴覚)を組み合わせることにより、よりイメージが人の意識(脳)の中に入っていく。そのため静止画に比べ、圧倒的な表現力と豊富な情報量を伝えられるだけでなく記憶にも強く残るのだ。

動画を使って、例えば企業が存在することで変化した社会や、その実現のために奮闘する社員の様子などをストーリー化して伝えることができれば、その印象はより強く視聴者の記憶に残る。これが結果的に、自社のブランディングにも寄与する。

文字では表現しにくい会社のイメージ伝達

上に挙げたことに関連して、パンフレットやWebサイトの募集要項や社員インタビューといった文字要素だけでは伝えられない情報を伝えられる。

具体的には、映像としてのイメージは視覚と聴覚情報が合わさるので、よりダイレクトに求職者にメッセージを届けることができる。

特に、文章では伝わりにくい会社が目指す未来や、現在の社内の雰囲気や仕事の様子といった情報を直感的に伝えることに適している。新しい会社で働いている未来の自分のイメージが湧かせ、「こんな風に働きたい」「達成感のある仕事に挑戦してみたい」など求職者の前向きな感情をデザインすることに貢献できる。

説明会の登壇者や面接官など、人に依存することなく情報発信ができる

会社説明会や面接では、その場に出る担当者によって説明する項目や内容に違いが出ることが少なくない。担当者によって採用候補者に与える印象が異なれば、優秀な人材の心をつかみ損ねるといった可能性もある。

その点、綿密に構成を練った採用動画を用意しておけば、企業のアピールポイントを抜けもれなく伝えることができるため、属人化せずにいつでも同じ情報発信ができる。

知名度の低い企業でも動画を通して興味喚起できる

採用動画の面白さやギャップ、意外性などからソーシャルメディアなどで話題に上がる可能性もゼロではない。

また最近は、文字コンテンツよりも動画コンテンツのほうが検索で上位に表示されやすい状況にある。

タイトルや構成などに工夫をして、地域や業界といった、自社を見つけてもらうためのフックを用意しておくことで、求職者が直接社名を知らなくても、検索時に見つけてもらいやすくすることもできる。特にYouTubeは「見つけてもらいやすさ」を高めるための手段として良いだろう。

知名度の低い企業でも動画を通して興味喚起できる
NicoElNino – stock.adobe.com

制作における4つのポイント

では、どうすれば上で挙げたような効果をもたらす、魅力的な採用動画を制作できるのだろうか。制作時に押さえるべき、具体的なポイントをご紹介しよう。

とはいっても、撮影手法や編集方法など、作業の意味でのポイントは紹介しない。というのも、セミナーの録画などでない限り、動画制作は自前で行うよりも専門の制作会社などに任せたほうが良いからだ。

そのため、ここではそうした外部のプロフェッショナルに依頼する前提で、発注する側でどのようなことを決めておくべきかについてフォーカスしてみたい。

見てもらいたいターゲットを明確にする

まず「誰に」見てもらいたいかを明確にしておくことが大切だ。

単に「求職者」とするのではなく、新卒採用に向けての就活生なのか、中途採用であればどういった世代なのかなど、きちんと決めておくことでそのターゲットへ効率的に魅力が伝えられる。

もちろん世代だけでなく、職種や「こんな思いを持っている人」など、いろいろな観点からその視聴者像を定義できていると、メッセージがより具体的でリアルなものになる。

伝えたいメッセージを絞る

次に「何を」伝えたいかを決めていく。

会社の魅力や仕事内容の説明も欠かせないが、写真や文字では伝えきれないものに「雰囲気」や「空気感」がある。とはいえ、雰囲気にもいろいろなものがあるので、より具体的にどんな雰囲気なのかを言葉にできると、制作会社のスタッフや社内の制作チームメンバーとも齟齬が起きにくい。

最初はたとえば「イノベーティブ」や「活気がある」など抽象的な表現でも良いので、まずは言語化してみて、それをもとに第三者である制作会社のスタッフと話すと、より具体的な定義付けができる。

言葉の問題かもしれないが、動画を見た人に「どんな読後感を残したいか」と考えても良いだろう。

使い方を決めておく

さらに「どのように」動画を活用していくのかも事前に決めておこう。

たとえば会社説明会の“前座”で流すなど、比較的多人数の場で、短時間で心を掴むような使い方をしたいのか、採用サイトに掲載することで丁寧に会社のことを伝えて応募者数アップにつなげたいのか、などのシーンが想定できる。

もちろん複数のシーンで活用することもよくあるのだが、メインになる活用場面は決めておいた方が良い。また、場合によってはロングバージョンとショートバージョンを用意したり、用途によって内容を変えると、より適切な使い分けができる。

形式や演出のイメージを考える

章の冒頭でも書いたように、撮影や編集をプロに依頼する場合でも、動画のある程度の方向性は社内でも持っておくと良い。

たとえば社員のインタビューや実際の仕事現場を中心に構成したドキュメンタリー調にするのか、それともミッションやビジョンを伝えることにフォーカスしてフィクションでストーリーを構成するのかなどだ。

また採用動画を制作する際には、成功したプロジェクトや楽しい雰囲気をピックアップすることも大事だが、視聴者にリアリティを感じさせないものは逆効果になる。この塩梅は経験や客観的な視点も大切なので、身内の温度感だけでストーリーを細かく決めるよりも、制作会社がアサインした作家など、その道に精通した人材をチームに加えることでクオリティが高められる。

採用動画の事例

ここでは実際にどんな採用動画があるのか、ここではタイプや表現・演出手法が異なる、6つの事例の解説をする。

バンダイ・BANDAI SPIRITS 新卒採用ムービー(バンダイ)

オフィス内で働く人の様子やインタビューを混じえながら、リアルな会社の姿を中心に、「この会社ではたらく自分」を求職者に伝えている。

【新卒採用】社員座談会:学生時代の経験と現在の働き方編(森ビル)

座談会形式で、現役社員のトークのみで構成した動画。イメージ重視の動画に比べ、尺も長いのが特徴。新卒採用を意識して、トークテーマもターゲットに寄せたものになっている。

エイチーム|【採用】企業紹介動画(エイチーム)

会社の沿革と現在、そしてこれから目指す先と、時系列のなかで自社の姿を紹介している動画。映像ではオフィスの様子を見せたり、社員インタビューやトップメッセージなど、多くの情報を盛り込んでいる。すでに興味をもった求職者に向け、応募のひと押しにする場合はこのような構成が良いだろう。

【採用動画】 朝日建設株式会社 コンセプトムービー(朝日建設)

象徴的なタグライン(キャッチコピー)を軸に、社員が働く姿をドラマチックに紹介したショートムービー。現場の様子から自社のミッションやバリューなどを体現している。

ADK RECRUIT 2020 スタメン採用(ADK)

新卒採用をターゲットに、採用コンセプトや求める人材像を、リズミカルな映像と音楽で説明した動画。目に飛び込む要素も的確に絞られており、1分ほどの内容だが採用したい人物像を端的に伝えられている。

くら寿司 動画 『仕事紹介』(くら寿司)

新卒採用入社した社員が成長する様子をアニメで描いた動画。特に新卒採用を意識した場合、働くことがまだ日常になっていないので、アニメのような表現がフィットしやすいといえる。逆に中途採用をターゲットにした場合は仕事の酸いも甘いも理解している場合が多いので、実際の現場を混じえたタッチのほうが転職先の見極めとして役立つと考えられる。

まとめ

スマホの普及に加え、最近はソーシャルメディアでも動画を日常的に見ることが多くなっている。また、オンラインの採用説明会なども増えている状況下では、動画は「予算があれば」ではなくベーシックな施策として考えるべきものになっていくだろう。

また、動画から伝わる「想い」「雰囲気」「リアル」などは、社内ですでに実際に築き上げられているものだ。それをどう表現していくかがポイントになるため、自社を見つめ直し、その姿を言語化することが良い動画にするための第一歩だ。

採用活動だけでなく企業ブランディングのためのツールとしても、動画は有効活用できるだろう。

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